2019年9月12日

下地からこだわる!「サザエの静物着彩」



今年度から土曜日のクラスを一緒に担当していく事になりました村田です。
よろしくお願いします!


水張りのレクチャー


それでは一学期最後の絵の具課題です。渡されたモチーフを卓上に自由に配置して絵の具で描いていきます。今年度初めての絵の具課題だったので、道具の説明や画用紙をパネルに貼り付ける「水張り」のレクチャーからスタートしました。絵を描く前の準備が大事なのはデッサンも絵の具も変わりません。


今回のモチーフ


モチーフはサザエ、透明なビニールホース、折り紙の3つです。これらを卓上で組み合わせて本番どのような構図で描いていくかをクロッキー帳にエスキースします。途中でサザエの向きや角度、ホースの位置や折り紙への加工など自分の描きたい構図や構成を考えるのがエスキースの時間です。アーティストはこの時間がとても大事な部分ではありますが、中学生のみんなはまず絵の具の素材に触れる時間が とても大事なので、ここで時間を使い過ぎずに構図が決まれば思い切って本番に入っていきましょう。


下地の作業の様子


ここから絵の具を使って画面に下地をのせていきます。最初ためらうかもしれませんが自分の好きな色、使ってみたい色を選び大きな刷毛を使って白い画用紙に思い切りのせてみましょう、とても楽しい時間です。モデリングペーストという中学生のみんなは聞き慣れない画材もペインティングナイフ等使ってのせます。なんだか絵を描いているって感じが出てきますね!


下地の上から描き込んでいく
最終的にどんな絵にしたいか、イメージを膨らませながら進む


ここからモチーフも絵の具で描いていきますが、デッサンとは違って色を使うのでモチーフの色に引っ張られがちです。それでは物が持つ量感や質感が弱くなってしまいます。
デッサンも絵の具課題も別物と考えるのでは無く、このモチーフを鉛筆で立体感を出す時に私はどんな所を気にして描いていたかな?どこを一番描いてみたかったかな?白黒写真で撮ったらどんな風に写るかな?とデッサンも絵の具も描く気持ちは同じように考えられると良いかもしれません。私も絵の具とデッサン、考え方は一緒なんて始めた当時さっぱり分かりませんでした。最初から上手くはいかないので色々な視点から物を考える事、失敗を恐れずに思い切り描いていく事、自分がどんな絵を描きたいのかを見つける事が大事だと思います。


最後の追い込み。面相筆を使って細かいところも描写する。
皆段々と仕上げの段階に入ってきました。


絵の具課題自体初めてな生徒がたくさんいた中で完成した絵は、それぞれ大変充実した作品になったと思います。
それでは数点お見せしながら話していこうと思います。



大変完成度が高い作品です。モチーフそれぞれの質感も感じられてサザエの完成度はもちろん、折り紙に折り目をつけて立ち上げた部分もシャープに決まっていて緊張感が出ています。ホースもツヤツヤして透けている所も良く見て描けています。背景の表情も単に塗るのではなく色の重なった綺麗さも残しつつ床面としての張りも出ています。



サザエに数々の色味を取り入れてサザエが持つ独特の固有色を表現しています。影側の色を黒と白でグレーを作るのではなく青や緑、黄色など作者がモチーフから感じる色を合わせて描いているので、背景との関係も良くそれぞれ物の描写も上手いですね。



4週間課題で1週分描く時間が足りない作品ではありますが、それぞれの特徴を良く捉えられた作品です。細部までしっかり描く部分、量で見せる部分が絵の中で上手くバランスが取れています。まだサザエの角のリズムがおかしかったりホースの描写など描きたい所は多々ありますがワイエスの未完成作品を彷彿させる様な1枚です。


平日クラスの作品講評会の様子

土曜日クラスの作品講評会の様子



他にもたくさん素敵な作品が出来上がりました!
美術クラブのみんな一学期お疲れ様でした。


2019年7月11日

シンプルに捉える!「牛骨のある静物デッサン」




こんにちは!講師の吉川です。

夏も近づき、蒸し暑くなってきましたね。体調を崩さないように気をつけたいところです。みなさんもくれぐれもお気をつけください。


美術クラブは前回に続き、鉛筆デッサンを行いました。木炭紙大にサイズアップです!大きい作品の時は、身体も大きく使っていく必要があります。目が画面に近くなると、全体を感じづらくなってしまうので、シャキッと背筋のばし、画面に腕をのばすように描く姿勢を意識して進めてみましょう◎


モチーフ:牛骨、石膏でできた四角錐、りんご、ワイン瓶、グレーの布。



今回のモチーフは、お馴染みの牛骨です。構造の複雑さが目を引きますね。どんどん手を入れて見応えを作っていきたいところです。しかし、闇雲に描くだけではいけません。これをいかに冷静に、「四角」として捉えることが出来るか?が大きなポイントになってきます。


「幾何形体」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?正方形、球体、円柱、円錐…など、基本的な形のことです。構造がシンプルなので、光と陰の仕組みの基礎を学ぶことができます。


複雑な形は、その複雑さに初めから取り掛かると、まとまりをつけるのが大変です。牛骨は一見、幾何形体とは似ても似つかない形をしていますが、「あえて幾何形体のよう(シンプル)に形を捉える」ことをしてみてほしいんです。牛骨の場合は、直方体ですね。これはりんごや、ワイン瓶も同じです。りんごは球体(円柱)、ワイン瓶は円柱です。





そうやって大ざっぱに形を捉えることが、その物らしい量感を作り出すことに繋がります。小さい単位を細かく繋げていっても、それは難しいんですね。大きく捉えることと、細かく観察することの両立が求められます。



今回は2点ピックアップしてご紹介します◎



中学3年生の作品です。一目見て良く描いている作品だとわかりますね。力作です!それぞれの固有色や質感が魅了的に表現されています。なにより、牛骨の細かな面を丁寧に汲み取っていて、手で触って形を確かめることができるような説得力があります。量感という観点でみると、奥のワイン瓶がまだ平面的なのが惜しい!



こちらも中学3年生の作品です。この絵は、それぞれのモチーフが持つ、抱えられそうな量感が素晴らしいですね。もう一つ注目すべきは、鉛筆っぽさをあまり感じないという点です。きちんとその質になりきるまで描ききっている証拠です。りんごはもう一歩、情報量が増えてくるといいですね◎



他のみんなも量感を意識して、じっくり描きあげてくれました!


牛骨の形の変化は複雑…。どこを観察すればいいのか、アドバイスをもらいます。
全体像がぼんやりと見えてきました。「ざっくりと捉える」ができています。

モチーフを背後から描いています。光と影を描くことが欠かせないアングルですね。
徐々に完成度が上がってきました。床に敷いてある布にもしっかりと描写をします。
徹底的に細部まで描いていきます。教室に鉛筆の音がシャッ!シャッ!と響きます。
平日クラスの講評会。クオリティーの高い作品がたくさん揃いました!
土曜日クラスの講評会。作品に対するコメントをみんな真剣に聞いていました。



今年度もここから、絵の具や粘土など、様々な課題に挑戦してもらいます。引き続き楽しんで、経験を重ねていきましょう〜!



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そして、ここからは受験生のためのイベントの告知です。美術系高校への進学を決めている方のためのイベントで、ただいま参加者募集中です。もちろん、受験しようかどうしようか迷っている方も大歓迎ですし、中1・中2生も参加することができます。ぜひ受験対策の雰囲気を味わってみて下さい!💪






2019年6月13日

基本デッサン「カモの剥製のある静物」



こんにちは!
美術クラブの講師の村です!


新年度になり、美術クラブでは新しい仲間が加わり、新しい課題もスタートしました。昨年度末は自由制作など、それぞれのアイデアを軸に様々な作品作りに挑みましたが、今回は一度基本に立ち返ってベーシックなB3サイズ画面での静物デッサンを行いました。


果たして、皆さんどんなふうに制作を進めていったのでしょうか?少し様子を覗いてみましょう!

カモの剥製、角材、レモンなど、バランスよく描き進めていて良いですね。
全体像がぼんやりと見えてきたら、少しずつ細かい描写を増やします。
新しい年度の始まり。先生の指導にも熱が入ります🔥

モチーフは、太めの角材に水玉模様の布がかけられ、カモの剥製が置かれたシンプルな作り。しかし、角材や布のように四角くて奥行きがあるモチーフは、遠近感が上手く描けるかが問われます。それに、フリーハンドで長い直線を何本も描くだけでもひと苦労だと思います。


絵の中で勢いのあるきれいな線を描くには、練習が必要です。腕の動かし方を意識しながら、大きく大きく動かしていきます。最初はふにゃふにゃした線ばかり。でも、練習を繰り返すうちに体の使い方が身についてくるのです。ちゃんと習得すると絵を描いている時の姿勢やフォームが明らかにスマートになります。


水玉模様の布も、描き始めると意外と大変!コツコツ描きます。
途中描き進め方や、モチーフの形の解釈の仕方などを教わります。
カモの剥製の後ろ姿をよく捉えています◎
土台がしっかり描けているので、カモが安定して立っているように見えます。

そして今回のモチーフのメインともいえる存在、カモの剥製ですが、これは生き物なので非常に複雑な形をしています。角材や布のように真っ直ぐではないですし、角(かど)がはっきりとある形ではありません。かといって体の膨らみが球体のようにまん丸なわけでもありません。ですから、こういった複雑なモチーフがある時は、観察を深めていくことを大事にしましょう。簡単な形に勝手に直してしまわないよう、忠実に写し取ります。


さて、3週間かけて仕上がったみんなの作品は果たしてどうなったのでしょうか。一部をご紹介します。






カモの羽毛の描きこみや、角材の木目の描写を見てみると、やっぱりみんなよく描いていますね!頑張った甲斐がありました◎


平日クラスの講評会の様子です。みんなよく頑張りました!
土曜クラスの講評会。先生が一人一人の作品にコメントをしていきます。

次回は、さらに大きな静物デッサンに挑戦していきます。レベルアップ目指して頑張ってください💪✨

お疲れ様でした〜!



以下は夏休み期間に行うイベントのお知らせです。たくさんの方のご参加をお待ちしております!
クリックすると大きく表示されます。
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イベントの詳細はこちらhttp://www.e-s-w.com/bc/からご覧になれます。お申し込みフォームの入力等も簡単です。ぜひ一度チャレンジしてみてください!


2019年5月16日

2018年度のしめくくり!「自由制作」




こんにちは!美術クラブ講師の吉川です。
すっかり暖かくなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
美術クラブは新たな仲間も迎え、新年度をスタートしています。


今回のブログでは、昨年度最後の課題「自由制作」をご紹介します。


自由制作は、画材から作品形態まですべて自由なので、作者がその作品の端から端まで責任を持って決めていきます!入学したての人もいたので、急に自由といわれて難しい点もあったかと思いますが、講師と相談をしつつ、制作を進めました◎


早速、数点の作品をピックアップしてご紹介します!



アクリル絵の具による鷲です。クローズアップした構成の、迫力あるかっこいい作品です。顔の作りや羽の柔らかさなど、とても細かな神経を使って描いています。透明色を生かし何層もうすく積み重ねてできた色彩と、厚みのある絵具がうまく使い分けられていて、見応えのある一枚に仕上がりました。




アクリルガッシュ(不透明絵具)を使い、色面分割でオリジナルキャラクターを表現しています。世界観の魅力はもちろんですが、微妙な色の違いを利用している点も工夫が生きていますね◎作品が複数点ある場合は、展示の仕方によって見え方が変わりますが、左右対称を少しずらすなど、ここにもこだわりを感じます。



鉛筆デッサンによる連作です。消しゴムの袋とクロッキー帳という変哲も無いモチーフですが、「表情」といえテーマを踏まえ、対象のシワやよれの「表情」を美しく豊かに捉えています。「なんてことないものを、いかに表現するか」という工夫が、鑑賞させるリアリティを生み出しています。




昨年の構成デッサン課題でも、お皿の鉛筆デッサンを描いた作者の作品です。今回はお皿上のモチーフを変え、連作のような位置付けで制作しました。作者は冬の間に美術系高校の受験対策を経て、隙間や影の美しさ、複雑さが一段と丁寧に描けるようになっているのを感じます。



本型の箱を利用した、こだわりのボックスアートです。さまざまな素材を用いて細かく作り込んでいて、どこから観ても楽しめる作品になっています。必要な素材を自ら探し、構築していく楽しさが伝わります。不思議な構造が、見る人の想像力をかきたてますね。



初の油絵に挑戦です!乾きも遅く、普段使う水彩絵具との違いに扱いづらさもあったとは思うのですが、グレーの色ひとつ取っても様々な色を用いて作られていて、工夫が伝わります。簡単に済まさず、何度も重ねた絵の具が重厚な質感を作り出し、絵に見応えを与えています。


写真では伝わりづらいかと思うのですが、人物の顔半分にくしゃくしゃにしたトレーシングペーパーが貼ってあり、その上から描いています。偶然できる表情を生かす設定が面白いですね。また、その他の部分がしっかり描かれていることが、作品の完成度をあげています。



自由制作は毎年、年度の最終課題として行なっているのですが、
1年間培った経験が、制作進行のヒントになったのでしょうか?




ペンと滲んだ絵具の表情が爽やかなイラストレーション
ミリペンを使ってどこまでも細かく!
どこまで細かくそっくりに描写できるか、というチャレンジですね!
油彩に挑戦!ざらりとした油絵の具らしい絵肌がおもしろいですね。
立体の制作には計画性が欠かせません。準備も万端で、手際も良かったですよ!
布とリボンで衣服の制作。小さなトルソに布をあて、綺麗なフォルムを目指します。
大きな画面で大胆な構成の絵に挑戦。絵具を思いっきり使っていますね〜👍
講評会がとても面白かった!みんないろんな作品を作っていて刺激をもらいました。
作品の作り方や、鑑賞の仕方は人によって様々。どんな風に相手に伝わったのかを確認します。



世の作家たちは、誰かに課題を与えられて制作をしているわけではありません。では何が制作のきっかけになるかというと、作者自身の好奇心ではないかと思います。美術クラブの授業だけでなく、皆さんは日頃、多くのものに触れて生活をしています。それは自然の現象であったり、誰か作品であったり、はたまた喜怒哀楽のような感情であったり。形は様々だと思いますが、数あるその中から、自分のアンテナに引っかかるものを、ぜひ大切にしてください。自由制作が、それを引き出す機会になれば幸いです。



それでは、1年間お疲れ様でした!
すでに始まっている新年度も、楽しんでいきましょう!