2014年7月24日

言葉からイメージした場面を描く その2

「言葉からイメージした場面を描く」の課題が終了しました。

課題の最終日には、実に様々なタイプの絵が出来上がってきて、
普段みんながどんな物を好きで、どんな出来事に興味をもっているかが分かる
とってもおもしろい課題でした。

テーマとなる言葉は「風景」です。
では、完成したみんなの作品をご紹介します。

横浜美術学院の中学生教室 美術クラブ テーマ「風景」01

まずはこちらの2作品。
左の作品は、ビニール傘をさしながら雨の降る街を歩いている風景です。
遠くに見える建物が、雨の日特有のかすんだ見え方をしています。
ビニール傘を通してみえる景色にも工夫がありますね。
傘に残る水滴の描写が魅力的です。

右の作品は、軒を連ねる家々を高い視点から見下している風景です。
透視図法(パース)を駆使して遠近感を表現しています。
その効果もあって自然な風景に感じさせてくれます。
作者は、きっとこんな町並みがとても好きなんだろうなということが伝わります。


横浜美術学院の中学生教室 美術クラブ テーマ「風景」02

続いてはこちらの2点。
左の作品は、海までのびる海岸通りを描いていますが、ちょっと不思議な風景です。
道をよく見ると気泡や魚がいたるところに描かれています。
左上の空には大きな鯨が泳いでいたりと、独特の世界観を作り出しています。
電柱や電線、道路標識も絵の中で特有のリズムを生み出しています。

右の作品は、打って変わってミクロの視点でとらえた風景です。
絵になる風景というのは、何も雄大な景色だけではありません。
このような何気ない出来事でも、ぐっと対象に近寄ってみると
おもしろい風景に見えてくるものです。

横浜美術学院の中学生教室 美術クラブ テーマ「風景」03


次はこちらの室内の様子を描いた2作品です。
左の作品は、かわいらしいデザインのソファがこだわりを持って描かれていますが、
注目すべきは窓から差し込んでくる美しい光の表現です。
床や壁に落ちる影の描写があるからこそ、ソファが魅力的に見えるんですね。
光と影の表現が上手くなると、どんな作品づくりにも応用できます。

右の作品は、読書(勉強?)をする人物の後ろ姿をアップで描いた作品です。
この作品の良さは物の質感の豊かさにあります。
肩にかかる髪の重さ、Tシャツの生地の薄さ、テーブルの木目などの描写から
作者の観察力と画力の高さを感じます。

横浜美術学院の中学生教室 美術クラブ テーマ「風景」04


最後はこの2作品です。
左の作品は、水を両手ですくい上げた瞬間を切り取った風景です。
暗い場所から浮かび上がる手という設定が、全体の雰囲気を神秘的に見せてくれます。
そして何より、手の描写が上手いですね。
発想の面白さだけでは終わらせない、強い説得力がある作品です。

右の作品は、水差しに入った植物のある風景です。
シンプルな場面設定ですが、決して寂しい印象を与えません。
それぞれの葉が四方八方に広がるように描くことで、植物が活き活きとして見えます。
ガラスの水差しの透明感や水の表情も、本物よりずっと素敵に感じさせてくれます。


「風景」というテーマにしては、実に様々なモチーフの作品が仕上がりました。
もっとテーマに即した作品になるようにアドバイスするという方向もあると思いますが、「美術クラブ」では、あえてテーマは絵を描くきっかけのひとつとして
今は扱っても良いと考えています。
なによりも、絵としての魅力、絵の言葉の豊かさに眼を向けて欲しいからです。


今回の課題では多くの生徒が背景を積極的に描いていました。
画面の隅まで描き切る経験をした事で、「モチーフの周辺」も描けるようになりました。
いつもは絵に描かなかったけれど、実際は視界に入っている「背景」や「周辺」に、
あらためて眼を向けてみてほしいと思います。
みなさんよく頑張りました!