2018年1月11日

美術の巨匠たちから学ぶ「古典技法」




明けましておめでとうございます!講師の吉川です!


今年も美術クラブをよろしくお願いいたします。


寒さも本格的になってきましたね。ついこの間、新年度!というブログを書いたと思ったのですが、気がついたらもう2学期が終わってしまいました。生徒たちの背が伸びるわけですね。


さて、人数も増え、賑わいをみせる美術クラブですが、11〜12月は古典技法をつかった絵画作品の模写に挑戦しました。用意した図版はこちらです。

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ作の『白貂を抱く貴婦人』
  • カラヴァッジォ作の『果物籠』
  • 磯江毅 作の『静物(盆の上の葡萄とパン)』



この中から好きな作品を選んでもらいました。どれもかっこいいので悩みますね。(と思っていたのですが、みんな即決でした。)


模写のお手本をそれぞれ選び、模写の制作工程をみんなで確認していきます。

初めての人も多いので、先生がデモンストレーションをしてくれました。



古典技法といわれるとなんだかお堅い気がしますが、絵のつくりは意外と単純です。


ざっくりと言いますと、「フルカラーで最初から描くのではなく、まず単色でリアルに描いてから最後に色を入れてフルカラーにする」という絵のつくりをしています。ちょっと回りくどい描き方ではあります。でも、塗り絵のようにそっくりな色を塗るだけでは、デッサンがおろそかになってしまいますから、ここでは「形を描くこと」と「色を塗ること」を分けて考えているわけです。


描き進めるうえで必要な技法は2つ。「グレーズ」と「ハッチング」です。


薄く溶いた絵具を塗り重ねていく「グレーズ」は、絵に深みや奥行きを作り出します。


【グレーズ】水を多めに加えて溶いた絵具を、薄塗りしていきます。



一方、「ハッチング」は、面相筆による白く細い線の重なりのことで、微妙なトーンのコントロールができます。難しいと眉をしかめる生徒もいましたが、始めると止まらなくなる、狂おしい技法です。笑


【ハッチング】面相筆という細い筆を使い、明るい部分を細い線で描写していきます。

光がどこから差してきているのか、絵の中の明暗の設定をよく見て描きます。

この作品の場合、果物カゴよりも背景の方が明るいので、白色で描いています。



今回はまず、草色(テールベルト風)赤みがかった土色(バーントシェンナ )をグレーズで繰り返し重ねることで中間色を作りました。いわゆる「下地」というやつです。そして、いよいよその上から白い絵具でハッチング。ほとんど固有色のない状態ですが、明暗を利用しながらまず形を描き起こしていきます。こうすることで、赤いとか青いとかいう固有色に惑わされることなく、平らな絵の中に奥行きや空間を作り出すことができます。


ハッチングをしていると、1つ1つのものの中で明暗が作られているわけではなく、周辺のものとの関係が同時に表現されていることに気づいたのではないでしょうか。


このように、ただ写すだけでなく、一枚の絵が出来るまでの過程を追体験することで、様々な仕掛けを発見し、作者の狙いを実感することができます。


最後は固有色をグレーズし、形に色を与えていきます。


物の立体感が描けたら、りんごの色・レモンの色・ぶどうの色を
それぞれグレーズしていきます。

固有色をグレーズする工程では、お手本の色味をよく観察する必要があります。



この時、納得いかないという顔で何度も色を重ねている生徒の一人に、どうしたのかと尋ねると「図版の絵はもっと暖かい感じなのに、自分の絵は寒そう」と言っていて、感心しました。選んだ図版に感じた魅力を、最後まで持ち続けることが出来ているということですね。静物デッサンでも、初見のときに抱いた感覚は実はとても大切です。そのもののシンプルな印象が本質そのものであったりしますから。


和やかな雰囲気の講評となりました。みんな達成感があったみたいです。良かった^^

仕事の丁寧さや、お手本の絵をどれだけ観察しているかが、
それぞれの完成作品から伺えました。



講評会で並んだ作品はどれも完成度が高く、魅力的でした!ぜひ巨匠たちの技を自分の作品にも生かしてみてくださいね。


受験対策チームも、バリバリと集中して課題をこなしています。


丸いモチーフや四角いモチーフなど、シンプルな形体を描く練習はとても大切です。

なんとなく感覚で描いていくのではなく、
モチーフの構造を理解して補助線を引きながら描きます。

硬さや柔らかさなど、そのモチーフの特徴を掴むことも大事にしたいですね。

受験対策チームの講評コメントはとにかく具体的。
それを糧にして、次の作品はもっと良くしようと工夫します。

あいまいな表現では相手に良さが伝わりません。
だから、ときには率直で辛口なコメントもあります。



受験までの限られた時間の中で、一枚一枚を大切にしていきましょう!